
少し前にスーパーで、ナノハナ(菜花という?)を買った。夕食の「辛し和え」になるはずの一束から、蕾の色づいている2~3本を花瓶に挿しておくと、花は、2~3日後、きれいに咲き満ちそしてほろほろと花びらを散らした。とぼれた熾きのように。
*************************
遥か昔のこと、英語のテキストは、『おとなしいアメリカ人』 だった。
部屋に戻ると、黄色い花は咲きおわり、タイプライターのキイの間に萎れた黄色い花びらが散り紛れていたー-
そのシーンがよみがえった。それがグレアムグリーンの短編であることを知った私たちは、我先にと文庫本に走って楽しんでしまった。詳しいことは何も覚えていない。ただその黄色い花びらの場面だけが色々の状況を語り、脳裏に染みついていた。