
薔薇の背景のブランコはもう、誰も乗ることはできません。ブランコは上に括り付けられてーー鉄棒も、ロープで巻かれて、使用禁止。滑り台も滑り降りることはできません。コロナ禍の影響で、子供も おとなも 心がふさぐ。
花たちがせめて心に語り掛けてくれています。時が来れば、咲くことができるよと。
昔、幼い子供の頃、道端に咲いている花を、面白がってやたらと折った。飛び出しているものは、じゃまだとばかりに。
母が言った。「花を折ってはダメ。花たちは一年かかって花を咲かせているのだから」
軽井沢に疎開した人たちは、谷川に沿って開墾して畑を作った。「沢の畑」と言っていた。その畑に行く途中の径のこと。
遅く疎開してきた我が家の畑は、いちばん奥の方だった。大根やジャガイモや、マメ類を作った畑の隅っこにイチゴが植えてあった。小さなイチゴの実が熟れると、子供たちは遊びに行ってはイチゴを食べた。
今、小さな流れは、コンクリートで固められ、周りは別荘地になった。ツリフネソウや、ツルボやオミナエシや野草たちは消えてしまった。
25日には、緊急事態解除されるというがーー。もう、違った世界が人々には待ち受けているのだろうか。