4時を過ぎた都営線の車内は少し混んでいましたが、優先席が一つだけ空いていました。
隣の車両から移動してきた老夫婦がその席を見つけて、夫が座り、
奥さんは、やっと手が届くくらいのつり革につかまっていました・・・
すると、向かい側の優先席にいた若い女性が、ささっと滑り出したように立ち上がって席を譲ろうとしました。
だっこバンドの赤ちゃんを胸に抱えたままーー。
3人掛けの他の席には、スマホ片手の若い女性と、仕事帰りらしい中年男性が座っていたのですが
見えなかったのでしょう。
「いえいえあなたこそ大変なのに、だいじょうぶですよ。ありがとうございます」
などと、奥さんが辞退しているとーー
気づいた、隣にいた中年男性がすっと立ち上がると、ドアの方に移動して行きました。
(ありがとう)ふたりの席は確保され、見ていた私もホッとしました。
優先席での場面はさまざまです。
ふと、以前に読んだエッセイ※の一場面を思い出しました。
”優先席” と記されたタイトルで、内容は、
著者が、イギリス人の若い女性に、電車の優先席の話をしていて~~
「あなたならどうする?」と。
「まず、優先席にはけっして座らない。
そして席の前にお年寄りや体の不自由な人が立ったら、
オートマティカリーに立つわ」
”オートマティカリー=自動的に” できるのは、
「子どもの頃から、そうしつけられ、
つい、すっと立つ大人たちを見て育ってきたからだと思うわ」と。
オートマティカリーに、そんなシーンには、たくさん出合いたいーー。
(※ 『学んで楽しんで 86歳心若く生きる』 清川妙著 あすなろ書房刊 )
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オートマティカリー ~~優先席で
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